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経営判断

150万から始めるPhase分け開発

システム開発を検討したものの、見積もりを見て止まった。この状態の多くは、予算が足りないのではなく「全部作ろうとしている」ことが原因です。 Phase分け開発は、最初に作る範囲を絞ることで、初期投資とリスクを同時に下げる進め方です。この記事では、その考え方と「何を切るか」の判断基準を整理します。

現場で起きていること

システム化を検討している会社では、こうした状態がよく見られます。

  • 現場から要望を集めたら機能一覧が40項目になり、見積もりが予算の数倍になった
  • 「どうせ作るなら全部入れたい」と要望が膨らみ、いつまでも要件が固まらない
  • 大きな予算を一度に決められず、検討だけが1年続いている
  • 過去に一度作ったが、使われている機能は全体の3割だった

最後の症状が、この問題の本質を示しています。時間と費用をかけて作った機能の大半が、実際には使われていない。 これは珍しいことではなく、要望を全部積んで作った場合にはむしろ標準的な結果です。

なぜこうなるのか

理由は、要望を集める段階では、何が本当に効くか誰にも分からないからです。

現場に「何が欲しいですか」と聞けば、要望は必ず出ます。しかしその要望は「今の業務のやり方を前提にした改善案」であって、「システム化したあとの業務で本当に必要なもの」ではありません。実際に動くものを使ってみるまで、この2つの区別はつきません。

ここに構造的な問題があります。全部作ってから確かめる方式では、確かめる時点ですでに全額を払い終えている。 使われない機能に払った費用は戻ってきません。しかも開発期間が長くなるほど、その間に業務や制度が変わり、完成時点で古くなっている部分が出てきます。

Phase分け開発は、この順序を逆にします。小さく作って、使って、効いた部分だけを広げる。 検証が先で、投資が後です。これにより、使われない機能に払う費用そのものが発生しません。

全部作る前提の見積もりを前に、検討が止まってしまっている様子のイラスト

Phase1で何を残し、何を切るか

Phase分けの実務で最も難しいのは、「何を切るか」の判断です。ここを感覚で決めると、結局は全部入りに戻ります。判断基準は3つあります。

土台と1階部分だけを先に作り、上の階は後のPhaseに回す考え方を表したイラスト

基準1:一番時間を食っている業務だけを残す

Phase1に入れるのは、現在いちばん人の時間を奪っている業務です。「あれば便利」ではなく「毎日1時間取られている」ものを選びます。

判断の材料は、機能の魅力ではなく実測です。「その作業は週に何回発生し、1回あたり何分かかっているか」を数えます。数えてみると、要望リストの上位と、時間を食っている業務の上位は一致しないことがよくあります。

削減時間が大きい業務ほど、効果が早く目に見えます。 Phase1の目的の一つは、社内に「これは効く」という実感を作ることです。効果が数字で示せれば、Phase2以降の判断が格段に楽になります。

基準2:例外処理はPhase2以降に回す

業務には必ず例外があります。「この取引先だけは処理が違う」「この商品カテゴリは別ルート」——こうした例外への対応は、開発工数を大きく押し上げます。

Phase1では、全体の8割を占める標準パターンだけを対象にします。 残りの2割は、当面これまでどおり手作業で処理します。

これは手抜きではなく、合理的な順序です。標準パターンが動き始めると、例外だと思っていたものの一部が、実は標準に寄せられると分かることがよくあります。逆に、本当に自動化すべき例外がどれかも、運用してみて初めてはっきりします。最初から全例外に対応しようとすると、使われない分岐を大量に作ることになります。

基準3:「見た目」と「速さ」は後回しにする

画面のデザイン、細かい操作性、処理速度の最適化——これらは重要ですが、Phase1の目的ではありません。

Phase1で確かめたいのは「この仕組みで業務が回るか」であって、「快適に使えるか」ではありません。使う人が限られた社内システムであれば、多少画面が素朴でも業務は回ります。そして実際に使ってみれば、どこの操作性を改善すべきかが具体的に分かります。 使う前に想像で作り込んだ操作性は、往々にして的を外します。

逆に、Phase1で切ってはいけないもの

一方、後回しにしてはいけないものもあります。

  • データの持ち方(どんな情報をどう保存するか) — 後から変えると全体の作り直しになります
  • セキュリティとアクセス権限 — 後付けは漏れが出やすく、危険です
  • 既存システムとのデータ連携の設計 — 連携の前提が変わると、作ったものが繋がりません

これらは目に見えないため軽視されがちですが、構造の土台にあたる部分です。 ここを削ると、Phase2で「作り直したほうが早い」という結論になります。Phase分けは「土台を先に、機能を後から」の順序で行うのが原則です。

境界線:AIに任せる範囲、人が決める範囲

Phase分け開発でも、AIとシステムに任せられる範囲と、人が決めなければならない範囲ははっきり分かれます。

AI・システムに任せられるのは、繰り返し発生する定型処理です。

  • 受発注メールから必要項目を抽出し、基幹システムへ入力する
  • 複数のExcelファイルを突き合わせ、差異のある行だけを一覧にする
  • 在庫・商品・顧客データを参照して、問い合わせへの返信案を作る
  • 日次のデータから、決まった様式の報告書を組み立てる
  • 入力内容が規定に反していないかをチェックし、該当箇所を指摘する

これらはPhase1の対象として適しています。判断基準がルールとして書けるため、短期間で動くものが作れます。

一方、人が決めなければならないのは、Phase設計そのものです。

  • どの業務が一番痛いか、現場と経営のどちらの視点で優先するかを決める
  • 「この例外は手作業のまま残す」と割り切る判断をする
  • Phase1の結果を見て、Phase2に進むか、方向を変えるかを決める
  • 「この機能は結局要らなかった」と認めて、作らない決断をする
  • 現場が使わない理由が操作性なのか、業務設計そのものなのかを見極める

とくに最後の2つは、人にしかできず、かつPhase分けの成否を決める判断です。Phase1が動いたあと、「使われていない」という事実を直視して方針を変えられるかどうか。ここで「せっかく作ったから」と押し切ると、Phase分けの利点が消えます。

AIは処理を高速化できますが、やめる判断はできません。 ここは経営の仕事として残ります。

Phase分けの進み方

実際の進み方は、こうなります。

  1. 現状の業務を洗い出し、時間のかかっている作業を数える — 感覚ではなく実測で
  2. Phase1の範囲を決める — 削減効果が大きく、例外の少ない業務に絞る
  3. 土台(データ構造・権限・連携)を設計する — ここは削らない
  4. Phase1を作り、実際の業務で使う — 完璧を目指さず、まず動かす
  5. 効果を測り、Phase2の内容を決める — 使われていない部分は作り直すか、やめる

開発期間は、Phase1であれば数か月規模に収まることが多く、大規模開発のように「1年かけて完成を待つ」構造にはなりません。効果を確かめながら、次の投資判断ができます。

まず何をすればいい

自社のPhase1に何を入れるべきかは、業種・業務量・現在の処理方法によって変わります。同じ業種でも、扱う商材や取引先の数で答えは変わるため、一般論では決められません。

Guidaでは、無料相談で現状の業務を伺い、削減効果の大きい領域を特定したうえで、Phase1の範囲と進め方をご提案しています。具体的な費用の内訳やPhase構成の組み方も、無料相談でお伝えします。

「予算がいくら必要か分からない」という段階で構いません。まず、どこから手をつけるべきかを整理するところからご相談ください。

ご相談・お見積もりは無料です。お気軽にお問い合わせください。

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