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AI活用の基本

業務を工程に割る(最重要)

AI活用でつまずいている会社の相談を伺うと、原因はほとんど一つに行き着きます。業務を「かたまり」のまま扱っていることです。「請求業務にAIを使えないか」「営業をAIで効率化したい」——この単位で考えている限り、答えは出ません。この記事では、なぜ工程に割ることが最も重要なのか、そしてどういう順序で割るのかを整理します。

現場で起きていること

業務をかたまりのまま扱っていると、次の状態になります。

  • 「この業務、AIで自動化できますか」と聞かれても、できるともできないとも答えられない
  • 試してみたが、一部はうまくいったのに全体としては時間が減っていない
  • 「結局、人がチェックするなら意味がない」という結論になった
  • 効率化の対象を選ぶ会議で、声の大きい人の意見で決まっている
  • ツールを検討しても、どの機能が必要なのか自社で判断できない

いずれも、判断できる大きさまで業務が切られていないことから来ています。

なぜ「業務単位」で考えると答えが出ないのか

一つの業務の中には、AIが得意な作業と苦手な作業が必ず混ざっているからです。

たとえば「請求業務」は、実際には次のような作業の連なりです。案件情報を集める、単価を確認する、金額を計算する、請求書の形に整える、内容を確認する、送付する、入金を消し込む。この中には、AIに任せられる工程と、絶対に任せてはいけない工程の両方があります。

この状態のまま「請求業務は自動化できるか」と問うと、答えは必ず「一部はできるが一部はできない」になります。そして、その答えからは何も動き出しません。

さらに厄介なのは、時間がどこで消えているかが見えないことです。多くの現場では、業務全体の所要時間のうち大半が、実はごく一部の工程に集中しています。全体を平均して眺めている限り、この偏りは見えません。 工程に割って初めて、「ここに時間が集まっている」という一点が浮かび上がります。

つまり工程に割る作業は、効率化の準備ではありません。それ自体が、どこに手を打つかを決める作業です。

業務をひとかたまりのまま扱うと手がかりがつかめない様子のイラスト

分解は、3つの工程で進める

ひとかたまりの業務を6工程に割り、各工程に丸・三角・バツを振って、バツが連続する箇所を特定する様子のイラスト

① 1業務を5〜8工程に分解する

まず、対象の業務を5〜8個の工程に切ります。 この粒度には理由があります。

3つ以下だと粗すぎて、AIが得意な部分と苦手な部分が同じ工程に同居してしまいます。 一方で15個以上に細かく割ると、今度は工程どうしの関係が見えなくなり、全体としてどこが詰まっているか分からなくなります。 5〜8個は、両方を避けられる範囲です。

切る際の基準は、担当者が変わる箇所、使う道具が変わる箇所、そして作業が一度止まる箇所です。「誰が」「何を使って」「どこで待ちが発生するか」で区切ると、自然にこの個数に収まります。

② 各工程に○△×を振る

次に、切った工程それぞれに3段階の評価をつけます。

  • — そのままAIに任せられる工程
  • — 条件を整えれば任せられる工程
  • × — 人が担い続けるべき工程

ここで大事なのは、△をどう扱うかです。○と×は比較的迷いません。判断が分かれるのは常に△で、**そして効率化の余地が最も大きく眠っているのも△**です。△を「できない側」に丸めてしまうと、打ち手はほとんど残りません。逆に「できる側」に丸めると、実装後に必ず戻ります。

△をどの条件で○に動かせるかを見極めることが、この工程の本題です。条件は業務によって異なり、材料の渡し方であったり、判断基準を先に決めることであったりします。

③ ×工程が連続する箇所を特定する

最後に、×が2つ以上並んでいる箇所を探します。 ここが、この分解作業のいちばんの目的です。

○と×が交互に並んでいる業務は、実は効率化の効果が出にくい構造をしています。AIが処理するたびに人が受け取り、また渡すという受け渡しが発生し、その切り替えに時間を取られるからです。工程単位では速くなっても、業務全体としては思ったほど短くなりません。

一方で、×が連続している箇所は、人の時間が最も濃く集まっている場所です。ここは自動化の対象ではありません。むしろ逆で、ここに人の時間を寄せるために、その前後の○工程を先に手当てする——という順序が見えてきます。

どこを自動化するかではなく、どこに人を集中させるかから逆算する。 これが、工程に割ることで初めて可能になる考え方です。

どこがAIの仕事で、どこからが人の仕事か

工程に割ると、境界線は自動的に浮かび上がります。「人が、人にしかできないことに集中している状態」が、抽象論ではなく図として見えるようになります。

  • 税理士事務所の月次決算:資料の受領確認、証憑の仕分け、仕訳候補の生成、記帳、試算表の確認顧問先への説明次月の助言、という並びになります。後半3つに×が連続します。つまりこの業務では、前半の仕訳と記帳を手当てして、経営者との対話に時間を寄せるのが正解です。
  • 工務店の見積作成:図面の受領、仕様の読み取り、数量拾い、単価の当てはめ、現場条件の織り込み施主への説明と調整、という並びです。現場を見て条件を織り込む工程と、施主と詰める工程に×が連続します。数量拾いに費やしていた時間を、そこへ移します。
  • 人材紹介会社の候補者対応:求人票の整理、経歴書の読み込み、要件との突き合わせ、面談での見極め企業への推薦理由の組み立て、という並びです。後半の見極めと推薦に×が連続します。
  • 介護事業所のケアプラン作成:アセスメント記録の整理、過去プランの参照、原案の作成、利用者・家族との擦り合わせサービス担当者会議での調整、という並びです。記録作成に消えていた時間を、利用者と向き合う時間に戻すのが目的になります。

いずれも共通しているのは、×が連続する箇所こそが、その仕事の本体だという点です。工程に割らずにいると、この本体に使える時間が、前工程の作業に食われ続けます。

自社の業務をどう分解するか

分解の粒度も、△の見極めも、実際にやってみると判断に迷う場面が出てきます。特に**△をどの条件で○に動かせるか**は、業務の中身を見ながらでないと決められません。

Guidaでは、自社の業務をその場で分解していただくウェビナーを開催しています。 対象業務の選び方から、工程の切り方、○△×の判定、×が連続する箇所の読み取りまでを、参加者ご自身の業務を題材に進めます。持ち帰って社内で使える形になるところまでを扱います。

詳しい内容と日程は、ウェビナーのご案内をご覧ください。この分解ができていれば、ツール選定も、社内ルールづくりも、その後の判断はすべて速くなります。

具体的な進め方は、Guidaが定期開催しているウェビナーでご案内しています。

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